「こんな楽しいことあるのか」
普通二輪免許を取ってから約1か月。会社の先輩と初めて三浦半島へツーリングに行ったとき、そう思いました。
それほど長い距離を走ったわけではありません。それでも、自分でバイクを運転して初めての場所へ行くことに、達成感がありました。
東京に住んでいた私は、普段はほとんど電車移動。三浦半島も、それまで訪れたことがありませんでした。気に入ったバイクでそこまで走ってきたことに、旅らしさを感じたのかもしれません。
そんな私も、最初からバイクに憧れていたわけではありません。危ない乗り物だと思っていましたし、免許を取った後も、公道を走るのは怖かったです。
きっかけは、会社の飲み会で見せてもらった一枚の写真でした。
乗るつもりがなかった私を動かした、一枚の写真
普通二輪免許を取ったのは、30歳になる少し前です。
当時付き合っていた彼女はバイクに乗っていました。それでも、自分も乗ろうという気持ちはありませんでした。
事故に遭ったときのことを考えると怖かったですし、当時の私には「不良が乗っている」という先入観もありました。身近な人が乗っていても、免許を取ることまでは考えていなかったんです。
気持ちが変わったのは、会社の飲み会でした。先輩から、彼女がバイクに乗るなら自分も免許を取ったらどうか、と勧められました。
そこで見せてもらったのが、当時まだ発売前だったと記憶している、ホンダのCBR250RRの写真です。
スポーツタイプの姿が、めっちゃかっこよかった。
それまで持っていたバイクへの印象に、「自分も乗ってみたい」という気持ちが加わりました。その約2週間後には教習所に申し込んでいたので、今振り返っても勢いはあったと思います。
親には、事故に遭ったときの危険性を理由に反対されていました。私はすでに実家を出て独立していたので、黙って免許を取りました。
危ないという認識は、自分にもありました。そのうえで、乗りたい気持ちが勝ったのです。
「どこまでも行けそう」な400Xを選んだ
免許を取るきっかけになったCBR250RRは、その時点ではまだ発売されていませんでした。私が実際に新車で購入したのは、ホンダの400Xです。
サイトのカタログを見て、どこまでも行けそうな見た目が気に入りました。
これに乗って、いろいろな場所へ出かけてみたい。そう思えるバイクでした。

それまで車は所有していませんでした。運転するのは実家の車かレンタカーで、ホンダのフィットに乗ることが多かったです。
車の運転経験はあっても、バイクで公道に出る感覚は初めてでした。教習所を出て、自分のバイクで走る。そのときは、普通に道を走るだけでも怖かったのを覚えています。
60キロ出ているつもりが、メーターは45キロだった
特に戸惑ったのが、風と速度の感覚でした。
自分では時速60キロくらい出ていると思っていたのに、メーターを見ると45キロ。その違いが、今でも記憶に残っています。
体で感じる速さが、車とは違いました。バイクで走る感覚そのものに、慣れていく時間が必要でした。
新車の慣らし運転も兼ねて、ほぼ毎日お台場まで走っていました。仕事が終わってから、20時ごろに出かけていました。
湾岸道路の長い直線を走るうちに、加速したときの感覚にも少しずつ慣れていきました。
もちろん、慣らし運転のためだけに通っていたわけではありません。気に入ったバイクに乗りたい気持ちがありましたし、お台場は夜景がきれいで、行くこと自体が楽しかったんです。
怖かったけれど、楽しかった。その両方を覚えています。
仕事が終わった後、バイクに乗って夜景を見に行く。そんな楽しみができました。
先輩に誘われ、初めて三浦半島へ
免許を取ってから約1か月で、仲の良かった会社の先輩にツーリングへ誘われました。
写真を見せて免許取得を勧めてくれた先輩とは、別の方です。
「免許取ったら、まずは三浦半島」
そう言われたのが印象に残っています。
出発前は、楽しみと不安の両方がありました。それでも、楽しみのほうが強かったです。お台場まで走っていた日々から、今度は先輩と一緒に、まだ訪れたことのない場所へ向かうことになりました。
この日が、バイクで高速道路を走った初めての日でもありました。道中では、大黒パーキングエリアでループ状の道を下りていったことをよく覚えています。
大黒PAは、首都高速の湾岸線と神奈川5号大黒線が合流する、大黒ジャンクション内にあります。初めてバイクで訪れた私には、そこへ入っていく道の形も印象に残りました。
首都高速道路サービス「大黒PA」(2026年11月7日確認)
湘南の海が見えた瞬間と、旅先で食べたご飯
走った道を細かく覚えているわけではありませんが、湘南あたりの海に面した道路は、よかった記憶があります。
特に覚えているのは、海が見えた瞬間です。目の前に開けた景色がよくて、走りながら感動しました。
普段はほとんど電車移動だった自分が、気に入ったバイクを運転して、初めての場所まで来ている。見る景色が新鮮でした。
車で出かけた経験もありましたが、バイクで自分が走ってきたときには、また違う感覚がありました。
そして、知らない土地で食べるおいしいご飯も、楽しみの一つでした。
この日に立ち寄ったのは、海が見えるレストランです。

この日は、白い建物のレストランで、きのこハンバーグを食べました。

距離的には、それほど遠くまで走ったつもりはありませんでした。それでも、自分でここまで来たという達成感があって、「こんな楽しいことあるのか」と思いました。
一緒に行った先輩は後に会社を辞めましたが、この写真を見返すと、初めて三浦半島まで走った日のことを思い出します。
港で魚を食べたい。一人でも遠出するようになった
三浦半島へ行った後は、一人でも遠出する計画を立てるようになりました。
初めて一人で遠出したのは、千葉の保田港です。港で新鮮な魚を食べることに憧れていて、ご飯を食べに行きました。
今まで行ったことはないけれど、行ってみたかった場所。食べてみたかったもの。そういうものを目当てに、バイクで出かけるようになりました。
東京から日帰りできる範囲でも、自分がまだ訪れていない場所はありました。次はどこへ行こうかと考え、一人で計画を立てることが、休日の楽しみに加わりました。
免許を取った入口は、飲み会で見た一枚の写真です。それが、お台場へ夜景を見に行く時間や、港まで魚を食べに行く休日につながりました。
迷っている人に、私が伝えたいこと
ここまで楽しさを書いてきましたが、バイクに乗るか迷っている人に、私は積極的には勧めません。
バイクにはリスクがあります。親に反対されて迷っているのであれば、無理に乗らなくてもよいと思っています。
私自身は、危ないと思いながらも、乗りたい気持ちを選びました。親には黙って免許を取りましたが、その選び方まで人に勧めたいとは思いません。
事故の影響は自分だけで済むとは限りませんし、楽しいからといって危険性がなくなるわけでもありません。そのリスクを考えてもなお乗りたいのであれば、免許を取りに行く。その判断は、自分の気持ちでしてほしいと思います。
私には、乗ってみて初めてわかった楽しさがありました。
最初は45キロでも速く感じていた自分が、仕事終わりにお台場へ走り、先輩と三浦半島へ出かけ、その後は一人で保田港へご飯を食べに行くようになりました。
気に入ったバイクに乗ったことで、行ってみたい場所へ自分で出かける楽しみが増えました。あの日の写真は、その始まりを思い出させてくれます。




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